ネット上では「クレジットカードのリボ払い」と「カードローン」とどちらが得かという記事が散見されますが、そのほとんどが間違いだらけと言わざるを得ません。
私のような金融業務経験者から言わせれば、そもそも見るべきポイントが間違っているのです。
ここでは「金融のプロ」ならではの観点で、「クレジットカードのリボ払い」と「カードローン」を比べていきたいと思います。
この記事の内容
クレジットカードのリボ払いとは
カードローンとの比較の前に、まずはおさらいも兼ねて、クレジットカードのリボ払いについて説明しておきましょう。
リボ払いの定義
リボ払いとは、「クレジットカードの利用金額や利用件数にかかわらず、あらかじめ設定した一定の金額+手数料を月々支払ってゆく返済方式」のことを指します。
(一定額の中に手数料が含まれる契約もあります。)
例えば、利用金額が10万円以下は1万円の支払いが条件になっている場合は、10万円の範囲であれば、商品の数は何個あっても月々の返済額は1万円+手数料です。
分割払いとの違い
また、リボ払いと似て非なるものに、「分割払い」があります。
分割払いとは、利用金額の支払回数を選んで分割で支払う方式です。
リボ払いは毎月の返済額が一定額になっているのに対して、分割払いは利用金額を何回払いにするのかによって毎月の返済額が変わります。
また、リボ払いの返済回数は、通常、利用残高が大きくなればなるほど長くなりますが、分割払いは、返済回数が少なければ少ないほど毎月の返済額は大きくなります。
- 毎月の返済額を基準に返済回数が変動・・リボ払い
- 返済回数を基準に毎月の返済額が変動・・分割払い
というイメージです。
メリット・デメリット
リボ払いは、利用限度枠の範囲内であれば複数の商品を購入することも可能であり、毎月の返済額が一定なので月々の負担を軽減出来るというメリットがあります。
しかしそのメリットがデメリットとそのまま背中合わせでもあり、月々の負担が少ない代わりに、新たな買物をすると返済回数が長くなりなかなか終わらないということになります。
また、その手軽さから安易な利用を続けると、予想外の借金を抱えてしまうようなことにもなりかねません。
これまでのクレジットカードのリボ払いとカードローンの比較方法
さてクレジットカードのリボ払いについて理解ができたところで本題に入りたいと思います。
これまでは、クレジットカードのリボ払いとカードローンはどちらお得かということは金利面で比較されることがほとんどでした。
そして一般的な金利数値はそれぞれ以下のようになっています。
- クレジットカードのリボ払い:年率15.0%ほど
- カードローン(銀行) :年率14.0%ほど
- カードローン(消費者金融):年率18.0%ほど
このためネット上の多くの記事では、クレジットカードのリボ払いは、銀行カードローンで借り換えるのがお得と結論付けています。
なるほどこの理屈自体は間違いではありません。
しかし、本当に、銀行カードローンに借り換えるのがお得なのでしょうか?
教えよう!金融のプロの思考方法
さてここからは金融のプロの思考を解説していきます。
最初に結論を言ってしまえば、私はクレジットカードのリボ払いを銀行カードローンで借り換えることはお得だとは考えてはいません。
同じ負債であっても、クレジットカードのリボ払いとカードローンは類(ジャンル)が違うからです。
つまり、
- クレジットカードのリボ払い=ショッピング(買い物)
- カードローン =キャッシング(借金)
ということだからです。
そしてキャッシングの負債は、世間からも金融業界からも、あまり「質の良い借入れ」とは思われていないのです。
例えば、これは金融業界では常識のことですが、同じ100万円の負債であっても、ショッピングの負債よりもキャッシングの負債の方が、審査で信用が低いと判断されてしまうことがほとんどです。
これは消費者金融だけでなく銀行カードローンでも同じです。
誤解を恐れずに言えば、「負債」には歴然としたカースト制度があります。
つまり。「質の良い借入れ」と「質が悪い借入れ」があるのです。
そしてこれまで話に出てきた契約形態のカースト順位は以下の通りです。
- 1位:クレジットカード分割払い(ショッピング)
- 2位:クレジットカードのリボ払い(ショッピング)
- 3位:銀行カードローン(キャッシング)
- 4位:消費者金融(キャッシング)
実際、多くのカードローン会社が審査で利用している、指定信用情報機関の㈱日本信用情報機構(JICC)でも、
ファイルD:主にキャッシングの情報
ファイルM:主にショッピングの情報
と明確に区分けされており、各金融会社は、ファイルDの負債には敏感ですが、ファイルMの負債に関してはそれほど気にしていないのです。
つまり、クレジットカードのリボ払いをカードローンに借り換えするということは、せっかく「質の良い借入れ」と判断されやすいファイルMにあった借入れ情報を、「質の悪い借入れ」と判断されやすいファイルDにわざわざ異動させるということになるのです。
金利のようにわかりやすく数値で説明することは出来ませんが、わずか数%の金利の差よりも「自分自身の総合的な信用」が低くなることの方が、デメリットは大きいはずです。
ましてや、もし、いくら低い金利を提示されたとしても消費者金融に借り換えするのは愚の骨頂と言えるでしょう。
キャッシングはカードローンの利用が一番!
これまでの説明で、クレジットカードの方がカードローンより『質の良い借入れ』と解説しましたが、これはあくまで、クレジットカードの「ショッピング」についてです。
クレジットカードにはショッピングの他にキャッシング機能が付いたものもありますが、同じキャッシングをするのであれば、銀行カードローンや消費者金融を利用することをおすすめします。
クレジットカードは、そもそも「ショッピング(買い物)機能」がメインで「キャッシング(借金)機能」はあくまで補助的なものです。
ことキャッシングに関しては大手消費者金融のサービスは、「無利息サービス」をはじめ徹底したものがあります。
またクレジットカードのキャッシングは意外と金利が高いことが多く、金利面では銀行カードローンに劣る場合がほとんどです。
クレジットカードのキャッシングはあくまで緊急時の臨時用として捉えておきましょう。
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